部会の紹介(部会とは) of division-of-biotechnology

部会の紹介

バイオテクノロジー部会とは

日本化学会バイオテクノロジー部会は、1995年に発足した生物工学研究会を母体として日本化学会の5番目の部会として1997年に設立されました。近 年、化学領域でも細胞や遺伝子、タンパク質、酵素など生体分子そのものを利用した研究が増大していることに対応したもので、バイオテクノロジーそのものを 対象として活発な部会活動(日本化学会のバイオテクノロジーに関する行事計画と運営、研究発表会・シンポジウムの開催、情報収集)を展開させています。

部会長挨拶

「コロナ禍で大きく変わる大学を思う」

後藤 雅宏
九州大学工学研究院

 今年度より,京都大学の跡見先生の後を継いで部会長に就任致しました九州大学の後藤です.バイオテクノロジー部会は,1997年に創立して23年の伝統のある部会です.この度,部会長の就任挨拶を執筆するにあたり,過去のNews Letterを読み返していると,バイオ部会が,日本化学会以外のバイオ関連学会で活躍している研究者が,化学という共通言語の元で一堂に会し,生物工学について議論するために設立されたことを知りました.新たな発想は,異なる専門を有する研究者の融合から生まれるものであり,他の学会,部会,研究会との積極的な連携が,バイオの世界に新たな風を起こす.と2016年の横山先生の会長挨拶に書かれていました.この理念は,まさに共感するものであり,この設立の趣旨を大切に,微力ながらバイオ部会の発展に尽くして行きたいと考えていますので,何卒,皆様ご協力のほどお願い申し上げます.
 さて,大学も新型コロナの影響で日々の生活が一変しました.まず,大きく変わったのがオンライン形式に変化した講義です.このため多くの先生が,講義の資料作りに大変な時間を費やされているものと拝察いたします.かく言う私も1年生の熱力学と3年生の化学工学の準備に毎週追われています.ただ,資料は一度準備してしまうと毎年使えますので,きっと来年は楽だろうなあと毎回思いながら作成しています.先週学生にアンケートをとったところ,意外にもオンライン講義を7割の学生が支持していましたので,コロナが収まってもオンライン講義は少なからず講義の中に取り入れられるものだと推察しております.ただ,学生の顔色を伺って,疲れた様子の合間に世間話を挟むことができないので,困っています.ZoomやSkype for Business,WebexあるいはTeamsなど,それぞれの大学によって推奨のソフトが異なりますが,九大では,Skype for BusinessとTeamsが公式推奨ソフトです.一方で,研究室の日々の打ち合わせや検討会は,使い勝手の良いZoomで行っています.使い易さと秘密性の高さは,相反するものがあると思います.また,秘密性を重視する製薬企業とのMeetingでは,ほとんどの会社がWebexを使用します.その兼ね合いが難しいところです.
 九大は,4月7日の緊急事態宣言発令からレベル4に引き上げられ,5月25日の解除まで,原則1カ月半全教員に在宅勤務が命じられました.25日の宣言解除後に,スタッフならびに研究員とドクター陣には時短で実験が認められましたが,新人の4年生と他大学から新たに入学したM1が実験を始められたのは6月15日以降です.正直,現在も顔と名前が一致しない状況です.ただ,研究室の滞在状況を50%以下に保つためGoogle Scholarで管理した結果,学生が時間を有効に使うようになり,実験効率は上がったように思えます.ただ,この9月に修了予定の博士3年生には,春先の大事な時期の実験禁止は痛手で,修了要件の緩和措置も適用されています.
 このコロナ禍,大学で,特に大きく変わったことは,海外も含めて出張(特に東京への)がなくなった点です.学術会議をはじめ学会の理事会及び各種委員会,さらには企業や他大学との共同研究の打ち合わせはすべてオンライン会議となりました.ところが,最近ではむしろ現地に赴くよりは,オンラインで十分だとの声も多くなっています.コロナが収束しても,会議のあり方は,今後大きく変わることが予想されます.また,春先の学会は軒並み中止あるいは要旨開催となりましたが,9月以降の大会では,多くの学会でオンライン会議に切り替えるところが増えています.第14回のバイオシンポジウムも福岡における現地開催が中止となり「とりあえずやってみよう」を合言葉に,素人の実行委員会が,オンライン会議の準備をしています.シンポジウムのHPもオンライン会議用に一から改変し,とりあえずやってみることになりました.皆様には色々とご迷惑をおかけするかと存じますが,どうか多くの皆様にご参加いただけますと幸いです.大会への参加は,学会の前日までの登録をお願いしています.HPから9月6日までに参加登録をお済ませいただけると助かります.
 最後に,私の専門は,経皮ワクチンですので,コロナのワクチン開発に関する私見を述べて終わりにしたいと思います.コロナ対策の今後の鍵を握るのは,治療薬とワクチンです.本来なら,コロナウイルスに特化した薬を開発すべきですが,医薬品開発には10-15年を要します.このため現状では,すでに安全性の担保された別用途の医薬品の中からコロナにも効きそうな薬を見つけるという戦略が取られています.そうなると「効果もそこそこ」に成らざるをえません.今後は,急場を既存薬でしのぎつつ,本当のコロナウイルス薬の創出が待たれるところです.一方で,ワクチンは,ある意味抗体ができればいいので,安全性さえ確認できればむしろ開発しやすい(臨床試験がやりやすい)医薬品でもあります.日本での臨床試験も7月に30名の健常人を対象に,低用量群(1mg)と高用量群(2mg)に分けて安全性確認(臨床第1相)と抗体産生の確認(臨床第2相)を合わせたDNAワクチンの臨床試験が注射で開始されました.早ければ9月にも結果が出る予定です.個人的には,免疫を活性化するアジュバントが今後の成功の鍵を握ると考えていますが,うまく免疫(抗体)ができることを願っています.

(令和2年7月)


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